プロローグ

最期の魔法は呪いの言葉 ヒミツノモリは夢の底。
魔女が昼寝をするその昔、空と海が仲良く交わっていた頃のお話。
南の彼方、深海の奥底に潜む、深い、深い、深い森。
世界中のどんな地図にも載ることができない、
1グラムの小さな、小さな、小さな、小さな森を『ヒミツノモリ』と呼んだ。
絡みあう珊瑚の樹木に囲まれて、月や星のおしゃべりも聞こえない静寂の森。
しかし、今夜はヒミツノモリが、なにやら騒がしい。
悲鳴の波動が波となって、押し寄せて、
やがて大きな、大きな、大きな嘆きとなって弾けた。